自分勝手で人間としての資質に問題のある

現在、予備校で経営者となっている四十代後半の予備校長さんたちのなかで、この先生に直接、間接の教えを受けた人も少なくないと聞いています。ところが、このS先生は晩年になって、突然、自予備校を閉鎖しました。年齢を考慮しての引退というのが表向きの理由でしたが、その背景には、言うに言われぬ苦悩があったと伝えられています。確かに、S先生は大勢の子どもたちを最難関の大学に送り込みました。しかし、苦労して入学させた生徒のなかに、六年後に東京大学に進学したものの、その後の状況が芳しくない者が続出したらしいのです。東大に入ったことで目的を失い、無気力になってしまった者、学業成績は確かにいいのだが、自分勝手で人間としての資質に問題のある者などが多く出たようでした。